マウスピース型装置の矯正とは?
マウスピース型矯正装置(商品名:インビザライン)は、米国で開発された比較的新しいタイプの矯正装置です。この治療法は、患者さんの歯型を3Dデータとしてデジタル化したものを、プログラム上で少しずつ動かして、歯ならびの治療過程の3Dシミュレーションを計算します。
治療のステップ数は、患者さんの噛み合わせによって変わりますが、平均で36〜48ステップのシミュレーションが作られます。
このシミュレーション結果をもとに、担当医のチェックと修正を行い、3Dプリント技術を用いて、各ステップごとのマウスピース型の矯正装置(アライナー)が製作されます。
こうして作られたアライナーを、1日20時間以上装着し、10〜14日毎に新しいステップのアライナーに交換しながら使っていくことで、歯を除々に移動させていきます。
メリット
透明で目立たない
金属のワイヤーを使った典型的な矯正装置と比較し、装置が透明なので、周囲の人にも気づかれにくいです。
1取り外しが可能
マウスピース型矯正装置は、簡単に取り外しが可能です。食事の時は装置を外して好きな物を食べられますし、食後の歯みがきも楽です。
2痛みが少ない
マウスピース型矯正装置の治療は、金属のワイヤーを使った矯正治療と比べて痛みの少ない治療です。
3金属アレルギーの人も安心
素材は柔らかいプラスチックなので、金属アレルギーの人でも治療可能です。
4デメリット
装着時間(1日20時間以上)を守らないと治療がうまくいきません。
装置を1日20時間以上使わないと、計画通りに歯が動かず、治療がうまくいきません。
マウスピース型矯正装置の治療は、患者さんの協力と自己管理がとても重要な治療になります。
治療が途中でうまくいかなくなる場合があります。
何かしらの原因で、歯が予定通りに動かなくなる場合があります。
その場合は、再度アライナーを再製作することがあります。
また、マウスピース型矯正装置での治療が困難な状況となった場合は、従来のマルチブラケット装置を使った通常の矯正治療による治療に切り替えることになります。
その場合、装置の再製作や装置の変更があった場合の治療費の追加はありません。
マウスピース型矯正装置での治療が適さない症状もあります。
患者さんの歯ならびの状態によっては、マウスピース型矯正装置の治療が適さない場合があります。
マウスピース型矯正装置の治療が行えそうな場合は、初診相談時にお話しをします。
この治療法で治療を行うかどうかの最終決定は、検査後の診断時にお伝えします。
この治療法での治療が難しい症状の場合は、原則的に従来のワイヤーを使った装置(マルチブラケット装置)をお勧めします。
iTero
Point.1
歯型取りが簡単に終わる
iTeroは、歯をなぞるようにスキャンするだけなので、口の中がいっぱいになって苦しくなることはありません。嘔吐反射が強い方や鼻呼吸が難しい方でも楽に歯型取りをすることが可能です。
Point.2
治療の成功率が高まる
精密な歯のデータ採取を行い、歯の動きを細かく設定できることから、治療の成功率が高まります。
iTeroを活用することにより、3Dデータを利用した治療結果のシミュレーションが可能になり、歯科医師にとっても仕上がりの不確実性の解消になっています。
また、患者と医師との認識のずれが少なくなり、治療後の歯並びを見ることで患者様のモチベーション向上も期待できます。
治療の流れ
初診相談
簡単な診査をおこない、現在の症状やその原因、治療法、装置、費用などを説明します。
次の検査を希望される場合は検査の予約を取って頂きます。
精密検査
レントゲン・歯型・お顔やお口の中の写真などです。検査後、検査資料を精密に分析して、治療計画をたてます。マウスピース型矯正装置の治療が可能かどうか検討します。
診断
検査資料を見ながら症状を説明し、患者さんに最適な治療計画を説明します。
マウスピース型矯正装置の治療が可能かどうかのお話しをします。
治療期間、治療費などについて具体的に説明をさせて頂きます。
スキャン、発注
お口の中を3Dスキャニングします。そのデータを米国のアライン社に送り、アライナーを発注します。歯を抜いて治す必要がある場合は、抜歯の依頼状をお渡しします。
米国アライン社は、3Dデータからシミュレーションを製作します。
出来上がった治療のシミュレーションは、担当医が入念にチェックし、修正を行った上で完成させます。
完成したシミュレーションから、全治療ステップ(平均で36~48セット)のアライナーが作られ医院に配送されます。
治療開始
アライナーの使い方や注意事項などを説明し、取り外しの仕方を練習します。
通常1ヶ月分(2〜3ステージ分の)アライナーをお渡しします。
受診間隔はおよそ1ヶ月後です。
10〜14日毎に次のステージの新しいアライナーに交換していきます。
通院
受診の際に、歯の移動状態をチェックし、必要な処置や指導を行います。
問題が無ければ次のステージのアライナーを2ステージ分お渡しします。
- 治療期間は、およそ2〜3年程度です。
- 途中、必要があればアライナーを再製作します。状況によっては治療方針を変更します。
治療終了
全てのアライナーの装着が終わったら治療終了となります。
アライナーの治療が終わったら、歯ならびの後戻りを防止する保定を開始しします。
後戻り防止ための装置(保定装置=リテーナー)を使います。
保定の期間は患者さんにより異なりますが、約2〜3年程度が目安です。保定装置は長く使った方が戻りも少なくすみます。
以降の通院間隔は徐々に延ばしていきます。
よくある質問
マウスピース型矯正装置の治療は痛いですか?
マウスピース型矯正装置の治療の痛みは、ワイヤーの矯正と比較して少なめです。
アライナーの装着中は話しづらいですか?
他の矯正治療と同様に一時的に話しにくいことがあります。しかし、装置に慣れるに従って話しにくさも解消されていきます。
ワイヤー矯正と比べて療期間が長くかかりますか?
マウスピース型矯正装置は、ワイヤー装置と比べて、1回で歯の動く量は少ないですが、無駄の無い歯の動きを行いますので、治療期間はマルチブラケット装置と比較してあまり変わりません。
どのような噛み合わせだとマウスピース型装置で治療できますか?
日本矯正歯科学会で推奨される噛み合わせは以下の通りです。
-
非抜歯症例で、以下の要件を満たす症例
・軽度の空隙を有する症例
・軽度の叢生で歯列の拡大により咬合の改善が見込まれる症例
・大きな歯の移動を伴わない症例 - 矯正治療終了後の後戻りの改善症例
- 抜歯症例であっても歯の移動量が少なく、かつ傾斜移動のみで改善が見込まれる症例
- 金属アレルギーを有する症例
また推奨されない噛み合わせもあります。
-
抜歯症例
・犬歯が遠心傾斜している症例
・前歯部が大きく舌側傾斜している症例
・歯の大きな移動を必要とする症例
・大きな回転、圧下・挺出を必要とする症例
・患者の協力度が低い症例 - 乳歯列期、混合歯列期で顎骨の成長発育や歯の萌出の正確な予測が困難な症例
- 骨格性の不正を有する症例
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